アドラー虎の巻

【はじめに】

アドラーの思想に興味がある方には、ベストセラーかつロングセラーにもなっている「嫌われる勇気」や続編の「幸せになる勇気」をおススメしています。

また「嫌われる勇気」や「幸せになる勇気」を読む時間のない方であっても、アドラーの思想について解説している無料のYouTube動画は、ネット検索すればすぐに見つかるはずです。

ですから「情報源がなくて困る」ということはないでしょう。むしろ問題は「情報源がたくさんありすぎて、アドラー思想の重要なポイントがよくわからない」ということにあるのではないでしょうか?

あなたはわざわざメールアドレスを入力して「アドラー虎の巻」を手に入れました。ですから、本やネットで簡単に手に入る情報をあなたに提供するつもりはありません。

アドラー関連書籍を読んだり、無料YouTube動画を観てもなかなか手に入らない情報を提供したいと思います。

本レポート「アドラー虎の巻」を読めば、アドラー思想の「重要なポイント」が理解できるはずです。早速はじめましょう!!!

幸せになる勇気

「嫌われる勇気」の続編「幸せになる勇気」のあとがきには、ライターの古賀史健(こがふみたけ)さんの言葉として、「もともと、続編を書く予定はありませんでした」とあります。

あとがき(抜粋)

もともと、続編を書く予定はありませんでした。アドラー心理学の創始者として知られる思想家、アルフレッド・アドラー。彼のすべてを語りつくすことはかなわなくとも、その思想の核心部分を取り出すことには成功したのではないか。

『嫌われる勇気』には、そんな手ごたえを感じていましたし、完結したはずの本に「続き」を設けるだけの意義が、うまく見出せなかったからです。

【引用:幸せになる勇気】

なぜ「嫌われる勇気」の続編である「幸せになる勇気」を執筆したのでしょうか?

古賀史健(こがふみたけ)さん曰く、(嫌われる勇気に記載のある)「アドラー心理学は、ギリシア哲学と同一線上にある思想なのです」ということばの意味が、ようやく理解できた気がしたから、とのこと。

どうやらアドラー心理学を理解するためには、ギリシア哲学を理解することが近道になるようです。ギリシア哲学は、どのような哲学なのでしょうか?

ギリシア哲学

ギリシアの人たちは、地中海の対岸にいる「神に祈れば救われる」と信じるエジプトの人たちを軽蔑していました。

そう。ギリシア思想は「神に祈れば救われる」という思想の対極にあるのです。ハッキリいえば、ギリシア思想とは「神に祈っても問題は解決しないぞ!」という思想なのです。

ですからギリシア哲学の延長線上にあるアドラーの思想は、「●●(条件)すれば、救われる(結果)」という条件プログラム的な発想を否定します。

「●●(条件)」には、「宗教」、「社会主義」、「進学」、「就職」、「出世」、「結婚」、「投資」、「起業」、「出産」、「資格」、「年金」、「ダイエット」、「整形」、「定年」など、いろいろな言葉が入ります。

裏を返せば「●●(条件)すれば、救われる(結果)」と信じることのできる人にとっては、アドラー心理学を学習する必要性はないということです。あなたがアドラー思想を学ぶ必要性はありそうですか?

落とし穴

アドラーの思想は「●●(条件)すれば、救われる(結果)」という条件プログラムを否定します。ですから当然、「アドラーの思想を学べば、救われる」という命題も否定されます。

もしそのことを理解していなければ、「アドラーの思想に裏切られた!」と失望する可能性が高いでしょう。しかし残念ながら・・・・・「嫌われる勇気」に登場する青年は、そのことをよく理解していなかったのです。

「嫌われる勇気」に登場する青年は、哲人との対話を通じてアドラーの思想にハマります。そして青年は「アドラーの思想に基づく教育を実践し、ひとりでも多くの子どもたちに光を届けよう」と決心し、「大学図書館の司書」の仕事を辞めて「中学校の教師」に転職します。

しかし中学校の現場でアドラーの思想を実践してみると、あまりうまくいきません。そのため「アドラーの思想は机上の空論だ!」と怒った青年が、哲人のオフィスを再び訪問する・・・・・という場面からはじまるのが「幸せになる勇気」という流れになっています。(興味があれば、読んでみてください!)

とはいえ「●●(条件)すれば、救われる(結果)」といった条件プログラム的な思想を否定するとして・・・・・わたしたちはどうすればよいのでしょうか?

アドラー思想の要約

アドラーの思想を要約すると、以下のようになります。

【要約】

課題の分離』と『共同体感覚』を理解した上で『導きの星』を心に抱き、『自己受容』⇒『他者信頼』⇒『他者貢献』のスパイラルを『勇気』をもって回しながら『今ここを生きる

「課題の分離」、「共同体感覚」、「導きの星」、「自己受容」、「他者信頼」、「他者貢献」、「勇気」、「今ここを生きる」などは、アドラー思想を理解する上で欠かせない重要な概念なのですが、本レポートですべてを解説するつもりはありません。

なぜならば本レポートであれもこれもと説明すれば、あなたを混乱させる可能性が高いからです。そこでアドラーの思想を直観的に理解してもらうために、「勇気」、「導きの星」、「今ここを生きる」に焦点を絞って解説したいと思います。

小島一哲

アメリカの名門、イエール大学卒の商社マンだった小島一哲さんは、ある日たまたま出会った落語に衝撃を受けて、落語家になることを夢見るようになります。

小島一哲さんは、親を説得し、会社の上司を説得し、立川志の輔(たちかわしのすけ)師匠に弟子入りをお願いするも、「いい会社に入って、落語好きな気持ちはわかるけど、趣味でやる方が幸せなんじゃないのかな。会社辞めるのを辞めなさい。」と、逆に説得されてしまいます。

小島一哲さんは、「会社にいるうちに弟子入りをお願いするなんて、自分はなんて失礼なことをしたんだ!自分は絶対に会社を辞めないといけない!」と決心し、現在では「立川志の春」として活躍しています。

参考動画)立川志の春の世界

アメリカの名門イエール大学を卒業し、平均年収1,783万の三井物産に入社すれば、世間は「勝ち組」だと認めてくれるでしょう。三井物産を辞めて落語家を目指すなんて、かなりの『勇気』が必要だったはずです。

「勇気」の重要性は、「嫌われる勇気」や「幸せになる勇気」などの本のタイトルに使われていることからも、その重要性をもうかがい知ることができるはずですが、どうすれば『勇気』をもつことができるのでしょうか?

ロックミュージシャン矢沢永吉さんの言葉に、ヒントが隠れています。

【矢沢永吉の金言】

矢沢永吉さんの言葉に、勇気を発揮するヒントが隠れていることに気づいたでしょうか?

そう。「追い求めるもの」(≒導きの星)があれば「理屈なんてなくて、ただやっている状態」(≒今ここを生きる)を楽しむことができるのです。ようするに「追い求めるもの」があれば、勇気なんてものは自然と湧いてくるのです。

矢沢永吉さんにとっての「追い求めるもの」(導きの星)は「音楽」であり、小島一哲さんにとっての「追い求めるもの」(導きの星)は「落語」でした。

あなたに勇気をもたらす「導きの星」は、どこにあるのでしょうか?

2つの選択肢

●●(条件)すれば、救われる(結果)」という命題があらゆる場面で、常に成り立つのであれば・・・・・ギリシア哲学もアドラーの思想もこの世に必要ありません。

しかし現実には「いい学校・いい会社・いい人生」なんて信じられないし、人生計画をメチャクチャにされる大事件にいつ巻き込まれるかもわからないのです。

まさか福島原発事故が起きるなんて・・・・・まさかコロナが流行するなんて・・・・・まさかロシアとウクライナが戦争をするなんて・・・・・・といった具合です。

そう。まさに「一寸先は闇」といった状態です。だからこそわたしたちは不安に襲われるわけですが、不安に対処する方法は2つあります。

1つ目の選択肢は、『他人』からの「●●(条件)すれば、救われる(結果)」的なアドバイスを信じては裏切られるを繰り返す。という選択肢。

エジプト的な発想であり、不安を埋め合わせる「●●(条件)」が通用する間は「安心」し、「●●(条件)」が通用しなくなれば「不安」になる、を繰り返すハメになります。

2つ目の選択肢は、『自分』の「追い求めるもの」(≒導きの星)を「ただやっている状態」を目指す。という選択肢。

ギリシア的な発想であり、不安な気持ちを埋め合わせるのではなく真正面から受け入れて、勇気をもって前進し続けるという選択肢です。

あなたはエジプト的な選択肢と、ギリシア的な選択肢(すなわちアドラーの思想)のどちらを受け入れますか?