地球で最も安全な場所を探して ~ 100%再利用神話の崩壊

2021年4月13日は歴史的な日になりそうです。電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水を、海に放出することを日本政府が決断することになりそうだからです。

しかしもっと重大で本質的な問題は放置されたままです。その問題とは「使用済み核燃料」をどうするか?という問題です。

100万年安全な土地はあるのか?

使用済み核燃料を再処理する際には、高レベルの放射能廃棄物「核のゴミ」を処理しなければいけません。この「核のゴミ」をどうするのか?ということが原子力発電を利用してきた国々で問題になっているのです。

核のゴミ捨てる場合には、地層処分(核のゴミをガラス個体にして地下300メートル以深に保存する)するのが日本政府の方針なのですが、ここで問題になるのそもそも地層処分できる土地はあるのか?という問題です。

地層処分する土地はどこでもいいわけではありません。高レベルの放射能廃棄物を捨てるためには、地殻変動などの影響を受けない「100万年安全な土地」が必要なのですが、「100万年安全な土地」というものがなかなか見つからないのです。

しかもバーゼル条約で産業廃棄物は「それが発生した国で処分すべき」と定められているため、「100万年安全な土地」は日本国内で見つけなければいけません。本当のそのような土地があるのでしょうか?

今回はそのような疑問について考えるヒントとなりそうな映画を紹介します。

原子力を推進する科学者の旅

夢は幻想だった

映画「地球で最も安全な場所を探して」を鑑賞してもっとも驚いたことは、「原子力発電が推進された当初は使用済み核燃料の危険性が認知されていなかった」という事実です。

つまり人類は原子力発電を「夢のエネルギー」として持ち上げる一方で、その代償についてはほとんどなにも考えていなかったのです。ここにすべての問題の本質があるのではないでしょうか。

もちろん長年原子力発電を続けてきた日本は大量の使用済み核燃料を保有しています。使用済み核燃料からプルトニウムを抽出して再利用するプルサーマル計画なるものが注目されたこともありましたが、世界中で濃縮ウランが大量に余っているという理由もありプルサーマル計画はとん挫しました。

ちなみに現在日本には長崎型の核爆弾が1万発ぐらい造れるプルトニウムを保有しているといわれているのですが、使い道が決まっているわけでもありません。残念ながら「原子力発電をスタートさせたときから人類は詰んでいた」というのが現在の状況なのです。

問題を先送りできない理由

日本国内で「100万年安全な土地」を探して地層処分するというプランは、実行したくでも実現できそうもありません。しかも「先延ばしにする」という選択肢もありません。なぜならば人間は100万年どころか100年ですら生きるのが難しいからです。

すでに学生の原子力離れは顕著で、あと数十年もすれば原子力人材は枯渇するでしょう。そうなれば半永久的に対処不能になることは間違いありません。あなたは日本は原子力を推進するべきだと思うでしょうか?