経済的自立の本当の意味

前回のレポートでは「お金の悩みから自由になるためには、自分の頭で考えることが重要」ということをお伝えしました。そして自分の頭で考えるツールとして「お金から自由になる戦略図」とネーミングしたものを提供しました。

しかし「お金から自由になる戦略図」を目の前にして「どうすれば自分の納得のいくものを完成させられるだろうか?」と悩んでいる人もいるはずです。そこで今回のレポートでは、「お金から自由になる戦略図」を超高速で作成するためのコツについて解説したいと思います。

自分がやるべきことをやり、1日でも早く理想の実現に近づきたいという方は、是非とも最後までお付き合いください。

経済学者の発見

中村尚司(なかむらひさし、龍谷大学名誉教授)という経済学者がいます。中村先生は、小学生のときからずっと「自立とは何か?」と考え続け、60年間考え続けてようやく、「自立とは依存『する』ことだ」という結論に到達することができました。

おそらく本レポートを読んでいるほとんどの方は(おそらくあなたも)「自立とは誰かに依存『しない』ことだ」と無意識に考えてしまっているでしょう。しかし中村先生は、小島直子さんという方の書かれた自伝を読んで「自立するとは依存することだ」ということを確信したのだそうです。

小島さんは先天性脳性小児マヒのために手足がほとんど機能しないのですが、多くの人に依存することにより自立を果たし、一人暮らしを続けている方です。

小島さんの自伝のタイトルは「口からうんちがでるように手術してください」という衝撃的なものなのですが、このタイトルについて小島さんは以下のようにインタビューに答えています。

小島さんインタビュー

友達に、ある時「もし、ひとつだけ夢がかなうとしたら、どんな夢をかなえてもらう?」って聞かれたんです。彼女は「障害をなくしてほしい」と私が答えるだろうと思ってたみたい。

だけど私は「口からうんちが出るようにしてほしいな」って答えたんです。

そしたら彼女はすごく驚いた。……でも私にはもう「障害がなくなる」という仮定はまったく考えられないんです。というか、何が「障害」なのかすらよくわからなかったんです。今でもそうですけど……(笑)。

【引用:ニュースメディア人権機構

助けてください!!

このレポートを読んでいるあなたは健常者である可能性が高いでしょう。しかし健常者と障がい者の線引きはあいまいです。

例えばわたしはゲームのやりすぎで視力を悪くして以降、メガネをかけていますが、メガネがなければ日常生活を満足におくることができません。しかしメガネをかけたところで、アフリカやモンゴルに存在する視力5,0もある部族のなかに放り込まれれば、障がい者扱いされるでしょう。

そう。わたしだって、あなただって、誰かに依存しないと生きていけないことは、程度の違いこそあれ、小島さんとまったく同じなのです。小島さんがたくさんの人に依存することで自立しているように、わたしだって、あなただって、たくさんの人に依存してはじめて自立できるのです。

わたしたちと小島さんの違いはなんでしょうか?

小島さんはご自身が障がい者であることを認識しており「助けてください」と意思表示することができます。だから自立しています。その一方でわたしたちは自分たちが障がい者であることを認識していません。だから「助けてください」といえないのです。だから不安定な状態であっても「自立している」と勘違いするのです。

日本人は「助けてください」と意思表示するのが苦手です。本当に困っているときでも助けを求めない人がたくさんいます。生活保護にしてもそうです。経済的に本当に困っているなら生活保護を受給して1日も早く生活を立て直し税金を支払う側になればいいのに、「生活保護だけは受給したくない」と頑(かたく)なに貧乏にしがみつく人だって珍しくないのです。

『自立』と【自立】

これまでの話をまとめると、「自立」するために必要なことは「誰にも頼らずに生きる」ように準備するのではなく、自分を助けてくれる仲間を一人でも多く集めることなのです。

ココは大事なポイントなので、一般的な『自立』のイメージと、今回紹介した【自立】のイメージをそれぞれ図示しておきましょう。一般的な『自立』のイメージはコチラ↓↓↓

『自立』のイメージ

一般的な「自立」のイメージは、「小さい自分という存在を、時間をかけて大きくする」というようなイメージでしょう。

『自立』のイメージ

その一方で、今回紹介した【自立】のイメージはコチラ↓↓↓

【自立】のイメージ

今回紹介した【自立】のイメージは、自分に足りないところを仲間に助けてもらうイメージです。

【自立】のイメージ

先人の知恵

「自分に足りないところを仲間に助けてもらう」ことを素直に実行できない気持ちは理解できます。日本では総理大臣までもが「自助、共助、公助」をスローガンに掲げています。「まずは自分でやれ、自分でできなければ仲間同士で助け合え、それでもダメなら行政を頼れ」といっているわけです。

しかしそのような思想に囚われすぎるのは危険です。なぜならば自分一人でできることには限界があるし、時間も有限だからです。限りある時間のなかで結果を出したいなら、むしろ「助けてください」といわなければいけないのです。

ヤフー株式会社のCSO (Chief Strategy Officer:最高戦略責任者)である安宅和人(あたかかずと)さんは、イェール大学の脳神経科学プログラムに入学し、平均7年弱かかるところ3年9カ月で学位(Ph.D.)を取得しました。

なぜ安宅さんは平均の半分の時間で学位(Ph.D.)を取得できたのでしょうか?

安宅さんの著書「イシューからはじめよ」を読めば、その秘訣がハンス・ベーテ(米国の物理学者、1967年にノーベル物理学賞受賞)の言葉のなかにあることがわかります。

ハンス・ベーテの言葉

フェミル(イタリア出身の物理学者、1938年にノーベル物理学賞受賞)は数学にも長けていた。必要とあれば複雑な数学を駆使することもできたが、まずはその必要があるかどうか確かめようとした。最小限の努力と数学的道具で結果へたどりつく達人だった。

安宅さんが伝えたいことは「相談する相手をもつ」というシンプルなことです。頼りになる相談相手がいれば問題解決がずっと楽になります。なぜならば問題を解く前から「問題に解く価値があるのか?」、「解くことができる問題なのか?」ということを判断できるからです。

その一方で相談相手を確保できない場合には、厳しい戦いを強いられる可能性が高いです。なぜならば「あまり解く価値のない問題を解くことに追われて疲弊する」とか「そもそも解ける可能性が薄いことに挑戦して時間を無駄にする」という可能性に怯えながら、問題に立ち向かわなければいけないからです。

あなたにはいつでも気軽に相談できる、いわば「知恵袋的な人」が何人いますか?

矛盾を解消する

この時点で混乱している人がいるかもしれません。前回のレポートでは「自分の頭で考える」ことを推奨し、今回のレポートでは「頼りになる人に助けを求める」ということを推奨しているからです。

「自分の頭で考える」ことと「便りになる人に助けを求める」ことは矛盾するかもしれませんが、矛盾しているわけではないので誤解しないようにしてください。頼りになる人に助けを求めた結果どのような情報が得られたとしても、それが重要であるか?それとも重要でないか判断できるのはあなたしかいないからです。

例えばあなたが勤め人で安定した給料を稼いでおり、毎月貯金できるお金もあり、日々の生活に不満がないけれども、老後資金について漠然とした不安を抱えているとします。

そのような場合に、ある人は「リスクの低い投資」をあなたにおススメするかもしれないし、別の人は「強みを生かした副業」や「徹底した節約生活」をあなたにおススメするかもしれません。

どの手段でも「あなたは老後資金についての漠然とした不安」を消せるかもしれませんが、どの手段が重要であるか判断できるのはあなたしかいないのです。ではどのように判断するのかといえば、「お金から自由になる戦略図」が参考になるでしょう。

わたしがなぜ?「お金から自由になる戦略図」を強くお勧めするのかといえば、「過去の自分の価値観」から強制的に抜け出すことができるからです。そのことを理解するのは簡単です。

2つの道

もし「お金から自由になる戦略図」がないまま、「リスクの低い投資」、「強みを生かした副業」、「徹底した節約生活」からどれを実践するか選べといわれたら、「今の自分でもできそうな選択肢」を選ぶでしょう。

その一方で「お金から自由になる戦略図」が手元にあれば、「今の自分でもできそうな選択肢」ではなく、「理想の生活を実現できそうな選択肢」を選ばなければいけないと感じるはずです。

あくまでもわたしの主観ですが、「今の自分でもできそうな選択肢」を選ぶ場合には、「労働」、「節約」、「貯金」といったものが優先的な選択肢になるでしょう。なぜならばほとんどの人がすでに「働いていて、節約していて、貯金もしているから」です。

その一方で「理想の生活を実現できそうな選択肢」を選ぶ場合には、「集金」、「投資」、「起業・副業」といったものが優先的な選択肢になるでしょう。なぜならばほとんどの人が、「少ない労働時間でお金を得ること」、「税率の低い収入源」、「やりがいのある仕事」、「もっと夢のある仕事」などに興味がありながらも、「自分にはできない」といって諦めているからです。

「今の自分でもできそうな選択肢」を選ぶ姿勢は、「過去の自分の視点から、自分の可能性を判定する」ことを意味しています。過去の自分の視点から物事を判断するかぎり、あなたは現状から抜け出せないでしょう。つまりおそらくは「お金の悩みから解放されるときは一生やってこない」でしょう。

逆に「理想の生活を実現できそうな選択肢」を選ぶ姿勢は、「将来の自分の視点から、自分の可能性を判定する」ことを意味しています。未来の自分の視点から物事を判断するので、現状から抜け出す努力を自然とするようになるでしょう。そして気づいた時には「お金の悩みから解放されている」でしょう。

つまりわたしは「過去の自分の視点」から「自分にできそうなことをやる」のではなく、「未来の自分の視点」から「自分がやるべきことをやる」ことを推奨しているのです。あなたはどちらを選びますか?

続きはコチラ

次回は「お金と幸福の関係」について解説します↓↓↓

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