母の友人が老後資金を約1,000万円も溶かした話

先日、ひさしぶりに母と会って話をしたのですが、びっくりする話を聞いてしまいました。なんと・・・・母の友人が老後資金を約1,000万円も溶かしたという話を耳にしたのです。

堅実そうな人だったので、「なぜあの人が?」と本当に驚いてしまったのですが、あとから冷静になって考えてみると、むしろ堅実な人だったからこそお金を失ってしまったのだと納得してしまいました。

どういうことかというと・・・・

リスクから逃げる

わたしの母もそうなのですが、たいていの日本人は投資とは無縁の生活を送っています。日本のバブル崩壊、リーマンショックなどを経験した人は、投資の世界がいかに不安定なものかわかっているからです。

アナリストの予想もほとんど役に立たないことを知っています。1989年の大納会(12月29日)の終値は、38,915円という最高値を記録しており、エコノミストのなかには「1990年は40,000円以上になる」と予測していた人も多かったのに、バブルは崩壊して大変な目にあった人も多かったのです。

「バブル」というと「景気がよかった時代」というイメージがあるかもしれませんが、景気がよかったのは不動産や金融に関わる一部の人たちだけで、製造業を中心とした人たちにとっては好景気という実感はなかったのです。

だからバブルが崩壊した時、日本人の大半は「なんだか困っている人たちがたくさんいるが、直接自分たちには関係ない。」という感じだったのです。だからまさか自分たち投資の世界に足を踏み入れるなんて想像もしていなかったのです。

しかし大金が入ってくると人は本当に変わってしまうのです。

退職金は自分のもの

投資をする人のなかには借金をする人がたくさんいます。バブルのときなんかはまさにそうで、1億円借りて土地を買い、その土地を担保にしてまたお金を借りるということをやっている人がたくさんいました。

いわゆる「土地ころがし」ですが、当時は「地価は上がり続ける」という神話がありましたから、むしろ「土地ころがし」をやらない人はアホという空気が蔓延していたのです。

とはいえ「やらない人はアホ」という空気が蔓延していたとしても「もし地価が下がったら破産するしかないじゃないか?」というマトモに考えることのできた人たちは、借金してまで土地を買おうなんてことはしませんでした。

しかし「借金で用意したお金で投資する」のと「自分のお金で投資をする」のとでは、話が変わってきます。「借金するのは怖いけど、自分のお金で投資するのは、むしろ将来のための義務なんじゃないか?」という気持ちになってくるのです。

誰だって「お金はあればあるだけいい」と思っています。老後に働いて収入を増やすという発想になる人はほとんどいませんから、「お金に働いてもらおう」と安易に考えてしまうのです。

しかし・・・・現役時代から誠実に働いていたからこそ、投資とは無縁の生活をしていて、だからこそ「投資を失敗した時の痛み」を知らなかった代償はとっても大きいのです。

老後にやり直すのは厳しい

母の友人は、退職してしばらくしたある日、金融機関から「投資をしませんか?」と提案を受けた結果、あれよあれよという間に、約1,000万円もの大金を失いました。

『老後資金2,000万円問題』に当てはめれば、年金だけでは足りない金額は1カ月当たり5万円と計算でしたから、1,000万円÷5=200カ月=16.6年分の老後の安心が短期間で吹っ飛んだことになるわけです。

母から1,000万円溶かした話を聞いたときは、「そんな話、本当にあるの?」と疑問に思ったので、ちょっと調べてみたら珍しい話ではないみたい↓↓↓

参考 母から2000万奪った大銀行の合法手口PRESIDENT Online

上記記事は、実の母親が銀行から2,000万円奪われた作家の『鳥居りんこ』さんが2018年2月に書いた記事ですが、その3年後には大銀行の窓口対策として「投資をやってはいけない人」の12のポイントが紹介されているのを発見したので読んでみたのですが・・・・根本的な問題は別のところにあるように思えるのです。

  1. 10年以上、手を付けずにおいておける資金がない
  2. 投資をするのに目的など必要ない。とにかく儲かれば良いと思っている
  3. 信頼性の高そうなもうけ話には耳を傾ける
  4. 投資の手法について理解しているつもりでも、自分で何をやっているか、たまに分からなくなる
  5. 資金を1年後に2倍に増やしたい
  6. 投資のリスクとは元本割れや値下がりのことで、そのようなリスクは取りたくない
  7. 元本割れだけは絶対に嫌だ
  8. 証券会社または銀行の担当者のアドバイスだけを頼りにして売買している
  9. 今後の価格が上がるとか下がるとかの、将来の予測ができるかが重要である
  10. 「利回り10%で元本割れなし」の特別キャンペーン商品を勧められたら迷わず購入する
  11. 理屈を淡々と説明する担当者よりも、儲かりそうな商品をいろいろと提案してくれる担当者のほうを好む
  12. 手数料はなるべく安いほうが良いが、利益が出るならあまり気にしない

【出典:PRESIDENT Online

大前研一氏の金言

世界的な経営コンサルタントとして有名な大前研一氏が、何十年も前に、こんなようなことを言っていました。「日本のサラリーマンは現役時代に遊ばずに、定年退職してから遊ぼうとするが、現役時代からやっていた人には絶対に勝てないし楽しくもない。

たとえば「退職したら優雅に釣りでもやろうかな・・・」と考えているかもしれないが、釣りを楽しむにも知識や経験が必要で、定年退職してから挑戦してもなかなかうまくいかないよ?ということを言っているのです。

わたしは投資も一緒だと思うのです。現役時代に時間を捻出して投資を勉強することもできたはずなのに、定年退職してから投資に目覚めて成功するなんてことのほうが奇跡だと思うのですが、あなたはどう思うでしょうか?

冒頭で紹介した母の友人は、堅実だったからこそ「投資にお金をぶっこめば儲かるぜ!」なんてことは一切考えずに毎日仕事に邁進していたのでしょう。しかし堅実だったからこそ、投資にウブな状態なまま老後に突入し、「銀行員からの魅力的な提案」に我を忘れてしまったのです。

わたしは一生、投資なんかしなくてもいいと思っています。しかし人生のどこかのタイミングで投資に挑戦するつもりなら、1日もはやく投資をスタートさせたほうがいいと思っています。

とはいえ「投資はリスクが怖い」とか、「そもそも元手がない」という人は多いはず。だから投資に挑戦したいとは思っていても「子育てがひと段落してからにしよう」、「子どもが大学を卒業してから」などと考えているうちに、投資に免疫のない状態で老後をむかえるのです。

投資に囚われる人々

投資に興味がある人の動機は、「将来のため」です。つまり将来の不安を軽減するために投資をするわけですが、皮肉なことに投資をすることで不安を軽減するどころか、不安だらけの日常を送っている人も珍しくありません。

わたしにもこんな経験があります。会社で仕事をしていると思って上司のパソコン画面をみたら、自分の投資ポートフォリオについて考えていた・・・・とか、機嫌が悪いと思ったら株が値下がりしたから・・・・ということも珍しくないのです。

わたしが相談にのったある女性は「旦那が投資をはじめたのですが、気分の浮き沈みが激しくなり、夫婦関係がギクシャクすることもあります。」だなんて悩んでいたりします。

もしあなたが「投資はリスクが怖い」とか、「そもそも元手がない」という理由で投資に挑戦していなかったり、投資にハマって逆に不安が増幅されるような生活をしているなら・・・・・そもそもあなたは「投資」を誤解しているのかもしれません。本当の投資は、怖くもないし、大きな元手も必要ないのです。

本当の【投資】について勉強したい方は、以下の記事を参照してください。「リスク」や「元手」について勉強する前に考えなければいけないことが学べます↓↓↓