ライフ 壮絶なイジメと闘う少女の物語 ~ 日本のイジメ

ライフ 壮絶なイジメと闘う少女の物語

一番こわいのは、いじめていると思っていないこと』。第14回いじめ防止標語コンテスト(2021年)における文部科学大臣賞を受賞した作品です。

数々の標語がつくられ、誰もが「イジメは悪いこと」だと思っているのに、なぜいつまでもイジメが繰り返されるのでしょうか?今回はイジメの原因について考えるヒントになりそうなドラマを紹介したいと思います。

動画)ライフ

永田洋子さんのいじめ

連合赤軍中央委員会副委員長を務めた永田洋子さんらが主導したいじめは、言葉では言い表せないほど陰湿で残酷で卑怯なものでした。(複数のリンチ・殺人で死刑が確定)

いわゆる「山岳ベース事件」として知られる事件について知ることが、『現代日本のイジメの本質』を理解する近道になると思いますが、その詳細については以前紹介した「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 」という映画を参考にしていただくとして、今回はイジメの本質について掘り下げていきたいと思います。

いじめを終わらせる方法

イジメる側とイジメられる側がハッキリしているような「イジメ」は世界中のどこにでもあります。加害者側が「わたしの言うことを聞きなさい」と命令し、被害者が「はい。わかりました。」といえばイジメは終わりますが、逆に「いいえ。あなたの言うことは聞きません。」といえばイジメは続くのです。

世界中どこにでもある「イジメ」のポイントは、イジメを終わらせる方法が明らかだという点です。被害者側がいじめを終わらせたければ、選択肢は2つあります。一つ目の選択肢は「加害者を倒すこと」、二つ目の選択肢は「加害者に服従を誓うこと」。いずれかの手段を達成すれば、とりあえずはいじめは終わります。

しかし日本でのいじめにおいては、三つ目の選択肢を採用する被害者がいます。三つ目の選択肢とは「自ら命を絶つ」という方法です。なぜ三つ目の選択肢が被害者にとって現実味があるかといえば、いじめを終わらせる方法が明らかではないからです。ここに日本のいじめの本質が隠れているのです。

日本のいじめは特殊

関係ない ごまかす自分に さようなら」というのは、冒頭でも紹介した第14回いじめ防止標語コンテスト(2021年)における「小学生の部」全国賞をとった作品です。ここに日本におけるいじめの特殊性が隠れていることを指摘しておきたいと思います。

いじめの加害者と被害者が明確な場合には、そもそも周囲の人間はイジメには直接関係がありません。しかし日本では周囲の人間もイジメに「関係がある」と感じています。なぜならば日本におけるいじめの主体は「空気」だからです。空気によるいじめのメカニズムがひとたび発動すると恐ろしい事態に発展します。

メカニズムはこんな感じです。まず最初にあいつは「ムカつく」とか、「空気が読めない」とか、「ガリ勉」だとか、「貧乏」だとか、「臭い・汚い」だとかいう理由で誰かをいじめる空気が出来上がると、非常に陰湿ないじめが発生します。

しかしいじめの主体が「空気」なので、いじめの矛先がどこに向かうかわからないのです。加害者と被害者が明確な場合は、加害者の標的にされた被害者がいじめられます。しかし空気によるいじめの場合は、周囲の人間も「自分には関係がない」といって無視することができないのです。

もしいじめの空気にのらなければ????「もしかしたら自分が標的にされるのではないか?」という不安が現実になってしまう可能性だって否定できません。だから誰かをいじめる空気が醸成されると、関係のない生徒までもがその空気にのってしまうのです。

ごまかす自分にさようなら?

「山岳ベース事件」においていじめの空気をつくりだしたのは永田洋子でした。周囲の誰もが「自分が標的になるかもしれない」という恐怖に怯えて、「革命の同志をリンチして殺すなんておかしいんじゃないか?」という当たり前の批判すらできなかったのです。

そしてここからが驚くべきポイントなのですが、革命の同志をリンチして殺して後戻りができない状態になってから、リーダー的な存在だった人たちは「自分たちのやったことに意味があったのか?」などと頭を悩ませているのです。

以上、昭和のいじめ(山岳ベース事件)、平和のいじめ(学校のいじめ)をみてきましたが、令和になると日本的イジメの構造は、学校という枠を超えて勤め先だけでなくメディア空間にまで広がっています。

昨日まで人気者だった芸能人が、何かのきっかけで「いじめの被害者」になり、いじめの被害者を擁護すれば、「お前も敵なのか?」と攻撃される始末です。まさに現代の魔女狩り。

連合赤軍は内輪でもめにもめて空中分解し最後には暴発して終わりましたが、コロナ禍の日本でも内輪でもめにもめてお互いに足をひっぱりあって空中分解しそうになっています。連合赤軍の言葉を借りるなら、日本国民全員が「自己反省」を求められる危機的な状態になっているのです。