あなたを騙す「金融のプロ」

老後の資金の確保のために不動産への投資を検討していた50代の男性は、不動産業者からこのように提案されました。

不動産業者

これからの時代はシェアする時代です。自動車も、自転車も、そして家もシェアするのが合理的なんです!。だからシェアハウスに投資しませんか?日本銀行の異次元の量的緩和政策によって、今なら低金利で銀行からの出資も得られやすいですからね。

一見すると魅力的な提案だったのですが、この男性は疑心暗鬼でした。

いくら低金利の時代だからといっても、50代のわたしに銀行がお金を出資してくれるのだろうか?わたしには不動産投資の経験などない。不動産の大家の一人としてやっていけるだろうか?

50代男性

しかし実際に銀行の意見をきくと、意外な答えが返ってきました。

銀行マン

シェアハウスですか。いい投資ですね。あなたの資産状況なら、1億円ほどならローンを組むことができます。

「1億円のローンも組める」という銀行員からの言葉をきいて、この男性は心が躍りました。

銀行のお墨付きをもらったのだから大丈夫だろう。老後の不安を解消することができるなんて、自分はなんてラッキーなんだろう。

50代男性

しかし、、、、、この男性は破産するまでに追い詰められてしまうのでした。

裏切り

被害者の男性がこの投資に自信をもった理由は4つありました。

1つ目の理由。それは利回りが8%と高水準だったこと。

2つ目の理由。オーナーへの保証が確約されていたこと。(空室になっても収入の保証がある)

3つ目の理由。銀行が審査し、融資が実行されたこと。

4つ目の理由。金融庁長官が「●●銀行は素晴らしい取り組みをしている」と太鼓判を押していたこと。しかし驚くべきことに、、、1つ目の理由も、2つ目の理由も、3つ目の理由もぜんぶ「嘘」だったのです。

真実

まず1つ目の理由について。8%という高水準な利回りは実現不可能でした。シェアハウスの入居者は4万円を支払い、オーナー(この男性)には6万円を支払うようなビジネスモデルになっていたからです。

つまりシェアハウスビジネスの実態は、入居者が集まれば集まるほど「赤字」になるビジネスモデルであり、赤字を補填するために新しいオーナーに出資をさせるというまさに自転車操業だったのです。

次に2つ目の理由について。「オーナーへの保証が確約されていた」ですが、その保証は数年後に破棄されて不動産業者は破産してしまいました。

さらに3つ目の理由について。銀行は審査して融資を実行するのが原則のはずなのですが、銀行はむしろ不動産業者とグルになって、破綻することがわかっている融資を実行していた疑惑があるのです。

「●●銀行は素晴らしい取り組みをしている」と太鼓判を押していた金融庁長官のメンツは完全に丸つぶれになってしまいました。

自己責任論

今回紹介したシェアハウスの事件は、実際にあったことです。(2018年6月7日時点では捜査中)

参考 サルでも分かるスルガ銀行×かぼちゃの馬車問題【イラスト10枚】ookumanote

被害者は完全に騙された被害者です。しかし世間からは「自己責任」という言葉でバッシングされました。実際、あるお昼の情報番組のメインMCはこういい放ちました。

なんでこんなカンタンなカラクリに、この人たちは騙されてしまったの?やっぱりうまい話にコロッと騙されるんだから、被害者にも非はあるんじゃないの?」と。

そうなんです。投資は自己責任なんです。そして多くの人が信頼している(であろう)銀行だって、あなたの味方であるとは限らないのです。

わたしもサラリーマンだったころは、会社がわたしの身を守ってくれました。わたしも会社に所属していたし相手も会社に所属しているので、「そう簡単に騙されないだろう。」という安心感はありました。

しかしサラリーマンを辞めて一歩会社の外をでると、騙し合いが横行する世界があることを知ったのです。わたしは「この中にこんなに詐欺師って多いの???」と本当にショックを受けました。

とはいえ会社という共同体組織のなかで働いた経験もあるので、「なにか大きな力」に抗えなくなって不正でもなんでも平気な顔をしてやってしまうという気持ちになることも感覚的に理解できます。

大きな力の正体は「その会社のなか(共同体のなか)でしか通用しない暗黙のルール」です。暗黙のルールは、時間をかけて確実に従業員の心に染みわたっていきます。

例えば(もうかなり昔のことですが)新入社員として銀行に入社したわたしの知人が、支店に配属されて最初に与えられた仕事は「時計の針を毎日正しい時刻に修正すること」でした。

細かいルールに至るまですべてを徹底させることで、、、何年もかけて、、、「上司からの指示は絶対守らなければいけない」という暗黙のルールを『しつけ』られるのです。

ワンポイントアドバイス

銀行からのアドバイスを受けて少ない手元資金から金持ちになったという人は、わたしの知るかぎり一人もいません。不動産業者が太鼓判を押してくれるから、銀行が出資してくれるから、、、そういった理由で大事な決断をするのはやめましょう。

本格的に投資をするなら、投資をする1年前から勉強することをおススメします。

練習のために少額のお金を動かす分には問題はないと思いますが、大きく勝負するなら圧倒的な知識量は絶対に欠かせません。数千万円、1億円といった金額を動かすなら、多くの人にとっては「人生をかけた勝負」になるはずです。

人生をかけた勝負をするのに、ビジネスモデルもあまりよくわかっていない。。というのでは勝負に勝てるわけがありません。ひらすら搾取される側になるだけです。

自称:お金のプロ

不動産投資で成功しているある男性は、不動産投資について銀行と情報交換する場において、現場レベルの銀行員と徹底的に意見が合わなかったそうです。

その男性は「あの時の銀行員、本当にバカなんじゃないか?不動産投資もやったことねー素人が知ったがぶるんじゃねー」と怒っていたのですが、実は珍しいことではありません。

冷静に考えればわかるのですが、、、いわゆる「金融のプロ」と「お金のプロ」はまったく違います

銀行員や証券マン、保険の営業マンは金融のプロなのかもしれませんが、「お金のプロ」ではありません。いくら国家資格をとっても、いくら経済学を勉強しても、、、、それだけでお金の扱い方が上手になるわけではないのです。

小説の評論家が、ベストセラー小説を書けないように。料理評論家が、三ツ星ホテルを経営できないように。評論家はあなたをお金持ちにしてくれる存在ではないのです。