記者たち ~ 権力がつくる現実に抵抗する

池上彰が字幕監修者を担当した『記者たち』という映画を観ました。9.11のテロで混乱するアメリカが、イラクへの米軍派遣を決断する裏にある記者たちの物語です。

予告動画)記者たち

アメリカが戦争を決めた時、決断を下した論理は「イラクには大量破壊兵器がある。イラクにある大量破壊兵器がテロリストに渡ったら大変だ!だから大量破壊兵器を壊さなきゃ!」でした。しかし驚くことに「大量破壊兵器は見つかっていない」のです。

アメリカの大手メディアは「大量破壊兵器がある」という政府の発表をそのまま垂れ流したのです。しかしアメリカ政府のなかにも、「大量破壊兵器があるというのは嘘だ」ということを知っている人がたくさんいました。そう。アメリカ政府は嘘をついていたのです。

そしてアメリカ政府のついた嘘によって、イラク国民の米国軍人も多くの人が命を落としてしまったのです。笑えない話です。

政府は必ず嘘をつく

近代社会では政治の力は絶大的であり、なおかつ政治家は悪魔のような存在であることが前提になっています。悪魔に絶対的な権力をもたせるのですから、悪魔たちを監視するメディアの役割と責任は極めて重いのです。

しかしワシントンポストやニューヨークタイムズといった大手新聞ですら権力側の情報を鵜呑みにして間違った情報を垂れ流すこともあるのです。「権力が現実をつくる」とはカール・マルクスの言葉ですが、メディアが政府が一体となって権力となり一般市民の現実をつくってしまうのです。

日本のメディアは権力に抗うことができるでしょうか?残念ながらそれはほとんど不可能でしょう。事実、高市早苗総務相(2016年当時)は「放送局が政治的公平性を欠く番組を繰り返せば放送法違反を理由に電波停止もあり得る」と発言しています。

放送局の政治的公平性を判断するのは政治家や官僚である以上、高市早苗のさきほどの発言は「権力側の気に食わない情報を発信すれば免許停止するぞ!!」という恫喝であることは明白ですが、権力がメディアを恫喝することの恐ろしさを日本国民は本当に理解しているのでしょうか?