国境なき記者団への反論

国境なき記者団

ある男性が「信じられない質問」をしている場面を見てしまいました。あまりにも信じられなかったので開いた口がふさがりませんでしたが、興味深いやりとりだったので共有しておきたいと思います。

国境なき記者団

2017年7月21日に、国境なき記者団の記者会見が外国特派員協会でありました。記者会見で質問が集中したのは、国境なき記者団が毎年発表する「世界報道の自由度ランキング」についてでした。

このランキングによれば日本の報道の自由度ランキングは72位なのです。その点について、読売新聞の記者が以下のように質問しました。

読売新聞記者

報道の自由度ランキングについて質問します。日本については心配無用です。日本は民主的で自由な国です。日本のメディアの独立性は保たれています。また政府の介入に抗う強さももっています。

昨今も安倍首相のスキャンダルを大々的に報じています。そこで一つ質問させてください。日本の報道の自由度ランキングは、世界の72位にランキングされています。しかし米国の別のNGOは日本のランキングを世界の12位と評価しています。わたしにとっても、12位ぐらいが妥当な線だと思っています。

あなたたち(国境なき記者団)のランキングは偏っていて、なおかつ一方的なのではないでしょうか?

国境なき記者団の事務局長であるクリストフ・ドロワール氏は、以下のように回答しました。

われわれは、報道の「質」ではなく、「自由度」だけを問題にしています。

アメリカは43位ですが、大抵のアメリカ人は、じぶんたちは世界のトップクラスだと思っています。「1位ではなくても、2位か3位が妥当なのではないか?」と主張します。

39位のフランスについても、フランス人は「そんなに低いはずがない!」と言います。

申し訳ありませんが、世界中でいつもあなたと同じような指摘をされているのです。もちろんランキングは相対評価です。

もちろん日本は民主国家ですし、多くの有力な報道機関があることも知っています。しかし日本には他の国よりも多くの制約や圧力があります。ずっと小さな国よりも日本には多くの制約や圧力があるのです。

皆さんが「日本の報道の自由度ランキングはもっと高くてもいいはずだ!」と思う気持ちはわかりますが、上位の国の実情を知れば、ランキングの根拠は理解できると思います。

強調しておきたいことは、報道の質についてのランキングではないということです。そのため上位の国のなかにも報道の質では日本に劣るところは多くあります。あくまでも「自由度」だけを見ているのです。

クリストフ・ドロワール

自分のことは自分にはわからない

いい意味でも悪い意味でも「自分のことは自分にはわからない」ということが明らかになりました。

日本のメディアは、「既存のメディア」と「それ以外(雑誌・フリー・ネットメディア)」では完全に分断されています。日本の既存メディアは16社しかありません(5系列の新聞、5系列のテレビ、NHK、共同通信、時事通信、中日、西日本、北海道)。そして16社は特権をもっています。代表的な特権は「記者クラブ」です。記者クラブのみが、政府からの情報を独占できるのです。

いわば記者クラブという制度は、政府からの情報を大手メディアだけが独占できるカルテルのようなものです。情報をコントロールしたい政府と、情報を独占したい大手メディアの利害が一致しているため今も根強く残っているのです。

記者クラブのような制度の存在こそが、日本の自由度ランキングが低い理由なのです。わたしのような一般人でもわかるし、フリーの記者、ネットメディア、雑誌記者はもっと肌で強く日本のメディアの不自由さを感じていることでしょう。

それにも関わらず外国特派員協会という場で、16社のなかにいる読売新聞の記者が冒頭で紹介したような発言をしたのは、とても興味深い事実ではないでしょうか。