言葉が世界をつくる

言葉が世界をつくる

福島第一原発事故で、放射性物質が飛散していることがわかった時、当時の官房長官は以下のような発言をしました。「人体には直ちに影響はありません

放射性物質は身体に入ってから、いつ影響がでるかわからないから恐ろしいのです。つまり問題の本質は「長期的には影響がでる」という点のはずなのですが、これを言い換えて、「直ちに影響はない」とまったく逆の方向へと言い換えているのです。

以上のように、言葉を言い換えることによって物事の本質を覆い隠す手法は、もはや人類の伝統芸の一つです。

新約聖書ヨハネの福音書第一章

新約聖書ヨハネの福音書第一章には次のような一節があります。『はじめに言葉ありき、言葉は神と共にありき、言葉は神であった』

この一節は、キリスト教の知識がない日本人にはなかなか難しい内容です。人間が話す言葉が人間よりも先に存在し、それがすなわち神であるというのです。

今回は宗教について詳しく説明することを目的としていないため、簡単な説明にとどめますが、「赤信号はわたってはいけない」というルールについて考えれば理解できるでしょう。

「赤信号を渡ってはいけない」のは、法律にそういう趣旨の記載が言葉で書いてあるからです。そう。言葉がわたしたちの発想・行動を縛るのです。裏を返せば、言葉によって人間は思考をすることができ、言葉を歪めることで人々の思考を歪めることだって可能なのです。

ここまで説明すれば勘のいい方であれば、もしかしたらわたしたち日本人が将来について漠然と感じている不安といったものも、言葉が歪められた結果の産物なのではないか?と気づくことができるはずです。

実際に特定の勢力が自分たちの意見を通すために、言葉を歪めて都合の悪いことを隠すということは、現代社会にもよく見られる光景です。どうすればその被害者にならずに済むでしょうか?

孔子の意見

孔子の時代の中国には、衛(えい、紀元前11世紀 – 紀元前209年)という国がありました。弟子の子路(しろ)が、「もし衛の君主が先生に政治を任せたら、まず何をしますか?」と質問したのに対して、孔子はこんなことを言っています。

必ずや、名を正す

あなたは普段何気なく使っている言葉の意味を正確に理解してるでしょうか?