LOVE LESS ~ 離婚したらクビになる?

結婚していれば長い夫婦生活のなかで『離婚』の2文字がよぎることもあるでしょう。離婚するとなるとたくさんの心配事が頭に浮かぶはずですが、海外では日本人には想像もできないような心配事もあったりします。

今回は離婚協議中のロシア人夫婦の間に発生する『悲劇』をテーマにした映画を紹介したいと思います。

予告動画)LOVE LESS

出世にひびくかな?

離婚協議中のお父さんの心配事は「(離婚したら)出世にひびくかな?」でした。離婚を良しとしない風潮はかつての日本の大企業にもありましたが、今回紹介した映画のなかでは宗教的な理由がその原因です。

お父さんの勤める会社の社長が敬虔なキリスト教徒であるため、「離婚すると否定的な目でみられるかもしれない」ということをお父さんは心配しているのです。日本人には理解不能でしょう。「宗教的なことを会社に持ち込むなんて」と反発するでしょう。

日本人は宗教が実社会に影響力を与えることに違和感を覚えます。なぜならば日本人は宗教とは死後の世界の面倒をみるものであると思っているし、また御利益があればあるほどよい宗教であると思い込んでいるからです。

しかし実はこのような日本人の宗教観は世界でも特異なものであって、世界の宗教では一般的な考え方ではないのです。

死後の世界?

例えば儒教や仏教は死後の世界にはまったく触れていません。

儒教の場合。死後の世界について弟子から質問された孔子曰く、「いまだ生を知らず、いずくんぞ死を知らんや」。つまり、いまだに生に関してすら知らないことがたくさんあるのに、どうして死後の世界などについて考える余裕があろうか。というのです。

仏教の場合。重要なことは悟りを開くか開かないかです。死んだからといって自動的に悟れるわけでもありません。生きていても死んでいても、悟りを開いた人は仏、悟りを開かなかったらもうダメなのです。

キリスト教の場合。死はモラトーリアム(一時停止)の期間です。死んだ人は墓の中で最後の審判を待っている状態であって、死後の世話をすること自体がキリスト教の目的であるわけではありません。

ユダヤ教の場合。旧約聖書のどこを読んでも来世のことや死後の世界についての記述はありません。ユダヤ教における救済とは、現世における救済のことを意味しているのです。

宗教とは何か?

宗教が死後の世界の面倒を見てくれるものだったり、ご利益をもたらしてくれるものではないとすると、宗教とは一体なんなのでしょうか?

偉大なる政治学者・社会学者・経済学者でもあるマックス・ウェーバーは、『エトス』をもって宗教を定義しました。エトスとは外から見える「行動様式」と、外からは見えない「心の習慣」の両方を含んだ概念です。

日本人は自称宗教者であっても、外から見える「行動様式」は一緒ということは珍しくありませんが、欧米や中近東では宗教が異なれば「行動様式」が異なるのがむしろ当たり前で、マックス・ウェーバーはここに目をつけて、エトスをもって宗教を定義したのです。

エトスをもって宗教を定義すると、日本人が宗教だと思っているもの以外にも、イデオロギーや思想なども宗教の中に入ってきます。そう考えてみると、マルクス主義や資本主義だけでなく、有名人のオンラインサロンに入会して活動するうちに考え方や行動が主催者に似てくることなども宗教の結果であるといえるでしょう。

あなたの行動はどのような宗教によって裏付けされているでしょうか?