THX1138 – 人間らしさとは?

THX1138

コロナ禍には「ステイホーム」という言葉が合言葉になりました。コロナの感染リスクを下げるために家にいたほうがコロナかかる可能性を低くできるし、リモートワークで快適に過ごせるかもしれないし、外出してお金を使っていた人は貯金もできるかもしれませんが、それでも自宅にいることが人間らしい幸せというものなのでしょうか?

実はそのことを題材にした映画が多数あるのですが、今回は「THX1138」というSFの古典を1本紹介したいと思います。

THX1138

あなたのためになりません?

核戦争後、人間は放射能がふりそそぐ地表を避け、地下シェルターのなかで生活しています。地下シェルターでの暮らしは、あらゆることが徹底的に管理されているものの「理想的な生活」そのものです。

健康は管理されているし、意図しない子どもが生まれる心配もありませんし、なにより放射能の悪影響にさらされる心配とは無縁でいられます。

そんなある日、主人公は書庫にこもって地上の歴史を知ります。外にでれば死んでしまうことを知るのです。しかしそれはただの情報に過ぎません。そもそも本当に外にでれば死んでしまうのか確かめようがないのです。

主人公を含む数人は、そのことを理不尽に感じ、なんとしてでも外に出たいと願います。しかし地下シェルターの管理者たちは、外に出たいと願う人間たちに「(地上にいくことは)あなたのためにはなりません。」と繰り返すだけなのです。

最終的に、主人公は様々な障害をのりこえて地上にでることに成功し、そこで映画は終わるのです。

肯定も否定もしない

この映画の特徴は、地下シェルターから地上にでることを否定も肯定もしないということです。わたしはこの映画を観て、「わたしなら外にでるだろうな。」と思いました。

「外にでたら死ぬかもしれないのに、それでもお前は外にでるのか?」とツッコむ人もいるかもしれませんが、そういう人は確実に存在するのです。例えば以前、人工透析の治療をすれば助かるのに、「人工透析をするなら死んだほうがマシ」といって治療を拒否した男性の話を紹介しました。

「郵便局」が破綻する「郵便局」が破綻する ~ 喉元過ぎれば熱さを忘れる日本人

そう。間違いなく、「人間らしい生活」を制限されるぐらいなら、死んだほうがマシと考える人間はいるのです。人工透析を拒否した男性の話はすこし極端だとしても、タバコが健康に悪いとわかっていてもタバコを吸うのをやめない人はたくさんいますよね。

しかしだからとって「人間らしい生活を大事にせよ」ということを主張するつもりはありません。なぜならば「人間らしい生活」というものは、その時代によって変化する可能性が高いからです。

わたしは昭和生まれなので、平成生まれ、令和生まれの日本人とは少し異なる感性をもっています。例えば賞味期限切れの食品でもニオイをかいで大丈夫そうだったら食べてしまいます。「賞味期限切れ」というラベルに記載されている情報よりも、自分の五感のほうを信じる傾向があるのです。

そんなわたしは「ステイホーム」の生活スタイルは長くは続かないと思っていますが、それはわたしが昭和生まれだからそう感じているだけかもしれないのです。ですからステイホームが当たり前の時代に生まれて、それが当たり前になった時代の人が「昭和・平成の時代は、満員電車にのって会社いっていたらしいよ?本当に令和生まれでよかったねわたしたち。」と考えたとしてもなんら不思議ではないのです。

現代人のわたしたちにとってコロナ禍の状況は、メリットよりもデメリットのほうが大きいでしょう。しかしわたしたちの子孫は、コロナ禍のなかに大きなメリットを見出すに違いないのです。もちろんそれがどのようなものなのか現代人のわたしたちにはわからないわけですが、、、、あなたはそれはどのようなものだと思いますか?