なぜ日本の経済は30年以上もうまくいかないのか?、どうすればお金の不安を払拭できるのか?という問いに答えるためにレポートを執筆することにしました。
もしあなたが「どうしたらいいのかわからない」と頭を抱えていたり、「どこかに落とし穴があるのでは?」と疑心暗鬼になっているのであれば、本レポートは、あなたの「これから」を考える上で役立つはずです。
早速はじめましょう!!!
2020年に話題になった『老後資金2,000万円問題』をきっかけに「投資」や「資産形成」といったテーマに注目が集まりました。
高校の家庭科の授業でも『金融教育』がスタートしましたが、金融関係者の典型的なアドバイスは以下のようなものです。
「老後2,000万円問題」に対応するためには、若いうちから生涯のライフ・マネーフランを考え、老後にどのように資産を取り崩すかシミュレーションするなど、早期に対策を始めることが重要だといえます。
【引用:ダイワファンドラップ】
そもそもなぜ?老後資金が「問題」になっているのでしょうか?
実は・・・・・日本全体でみれば「お金はたくさんある」のです。事実、2022年夏にはこんな記事をみかけました。
2022年6月27日、日銀は資金循環統計(2022年第1四半期)を公表しました。 家計金融資産額は前年同期比+2.4%の2,005兆円と年度末としては最高額となりました。 このうち、現金・預金が1,088兆円で、全体の54%を占めています。
【引用:東証マネ部】
将来のお金に不安を抱えている人にとっては、「どこの国の話?」と首をかしげてしまうような統計情報かもしれませんが、「お金はあるところにはある」のです。
たとえば振り込め詐欺の新人研修では、「資産5,000万円の人間から500万円をとることは犯罪。だけどお金のない人からお金をむしり取るわけではない。つまりオレオレ詐欺は犯罪だけど、最悪の犯罪ではない。」と教育することで罪悪感をやわらげているそうです。(参考:振り込め犯罪結社)
もちろん本レポートは振り込め詐欺を推奨するものではありませんのでご安心ください。わたしが強く主張したかったことは、日本社会には円がたくさんあるが「あなたの懐にまで円が流れていない」ということが問題の本質だ・・・・・ということなのです。
なぜ「あなたの懐にまで円が流れてこない」のでしょうか?
まずは国レベルでの問題を、一目で確認できる図がコチラ↓↓↓
アベノミクスの予想と”現実“#自民党は利権と汚職と税金泥棒 #自民党に殺される pic.twitter.com/Kg9wji7k16
— 桃太郎+ (@momotro018) November 6, 2022
上から税金を流し込んではジャブジャブ上から中抜きしている構造。中抜き企業に、たくさんの役人たちが天下りしている構造。
政治家たちはその役人たちに経済政策を依存している構造。メディアが御用学者や官僚の意見をそのまま垂れ流す構造。
地方においては、知事・議員・土建屋のボスのトライアングルが、あんぐりと口をあけて中央からの補助金・交付金を食うという構造。
つまり中抜き、天下り、政官財学(+メディア)の癒着、地方の補助金・交付金依存という構造の結果、「生産性が上がらない」という日本経済最大の問題が30年以上も解決されずに続いているのです。
なぜ大企業・政治家・官僚・知事・地方議員に危機感がないのか?ズバリ「食えている状況」が続いているからです。
中国の近代化が本格化した時、「このままでは食えなくなる」ことを危惧した日本以外の先進国は、「中国が安売り勝負を挑んでくるなら、うちらは別の勝負をするぜ!」という路線に舵を切りました。
具体的には、クルマや白物家電を安く売るだけではなく、IT・エネルギーの分野を開拓していきました。結果、Google・Amazon・Facebook・Appleなどの企業が世界中を席巻し、自動車の分野でもテスラが誕生しました。
日本以外の先進国は、産業構造改革に成功したのです。だから経済成長を続けることができているのです。一方で日本はどうでしょうか?
30年前のジャパン・アズ・ナンバーワンの時代には、時価総額ランキングのトップ10は日本企業が席巻していたのに、現在では見る影もありません。(2023年11月時点で、日本企業の最高順位はトヨタの38位)
産業構造改革により生産性を上げて賃金を上げるかわりに、『規制改革』とは名ばかりの既得権益の荷物を軽くするだけの「非正規雇用化」、「労働者の外国人化」を推進してきたのが日本の実態です。
アメリカの場合、開拓者精神によりイノベーションを生み出しました。中国の場合、共産党独裁による上からの圧力(儲からない産業に固執する地域の補助金はカットする)により産業構造改革を強硬しました。
しかし日本の場合は、いずれも難しそうです。なにせ検討ばかりしていることから総理大臣に『検討師』というニックネームまでつけられるほど決断力も実行力のない国なのですから。
日本政府ができることといえば「責任転嫁」しかありません。「企業がため込んでいるお金を労働者に回さないから、景気がよくならない!」と主張し、「どうか企業さん、賃金アップを前向きに検討してください!」と要請することしかできないのです。
とはいえ、どれだけ国が要請したところで企業が従う必要はありません。日本的企業の場合、「社員の賃金は企業が決める」のが当たり前だからです。
「そんなこと当たり前じゃない?」と思ったらあなたは正真正銘の日本人です。なぜならば先進国の場合、社員の賃金は企業が決めるというよりは「労働市場が決める」のが当たり前だからです。
つまり日本には労働市場が「ない」のです。もちろん新卒一括採用の時だけは「労働市場のようなもの」が誕生するのですが、「転職するのが当たり前」というわけではありません。
労働市場がある場合、労働者の価値によって賃金は決まります。しかし日本では「社員の賃金は企業が決める」ので、同じようなスキルをもっている人材でも所属する会社によって給料が異なるということが珍しくないのです。
たとえばdocomo・au・softbankの社員は同じような仕事をしているはずです。同じような仕事をしているのであれば、労働者によって給料に差がでるはずがありません。
しかし不思議なことに日本では「同業他社に転職すれば給料が変わる」のです。その理由は繰り返しになりますが「社員の賃金は企業が決める」からです。だからあなたがどれだけ有能な人材であっても薄給から抜け出せないリスクがあるわけです。
他にも雇用形態の問題もあります。「同一労働同一賃金」とはいうけれど、正規雇用と同じような仕事をしている非正規雇用の人たちの待遇は、正社員よりも悪いのが当たり前になってしまっています。
加えて、日本には天下りがあります。あなたが大企業に勤めている場合には天下り役人がやってきますし、あなたが中小企業に勤めている場合には。大企業や銀行からの天下り人材と出会うかもしれません。
どれだけ仕事で結果を出してスキルアップしても賃金は上がらず、出世もできない・・・・・そんな状況で「頑張れ!」といわれても無理な相談ではないでしょうか?
「あなたの懐にまで円が流れてこない」理由として、国レベルの問題と企業レベルの問題をみてきましたが、その根底には「共同体原理」が隠れています。
「共同体原理」は聞きなれない言葉かもしれませんが、『将来を救うマネー戦略』を考える上で避けては通れない話題なので、わかりやすく解説します。
共同体原理の特徴はいくつかありますが、本レポートで注目したいのは2つのポイントだけです。
二重規範は「内と外でルールが異なる」ことを意味します。たとえば吉本興業の場合、「先輩が後輩におごる」というルールがあるそうですが、吉本興業の外ではそのようなルールはありません。
一般的には後輩の方がお金をもっていたら、後輩が先輩におごってもいいわけです。しかし吉本興業の場合は、先輩がお金をもっていなくても後輩におごるのが不文律になっているそうです。
ダウンタウン・松本人志は芸歴30年で後輩たちへのおごり代が1億円を超えていると言い、『生まれ変わったら僕の後輩になりたい』と語っています。
また、千原ジュニアは約20人の『ジュニア軍団』の面倒をみるために、年間3,000万円近くおごっているとのこと。
品川庄司・品川祐は27歳時に150万円の借金をして後輩にごちそうしていたとも。逆にサバンナ・高橋茂雄は今まで先輩に合計3,000万円くらいおごってもらっていると明かしていました。
【引用:日刊サイゾー】
また郵便局も内と外で異なるルールをもっている共同体の一つです。
小規模郵便局の局長でつくる任意団体「全国郵便局長会」(全特)が、局長を志望する人に対して、日本郵便の採用試験の前に、配偶者も同席させて面接するなど独自に選考を行っていることが、内部資料で明らかになった。
通過者には長期間に及ぶ研修を受けさせ、選挙活動の重要性などを理解させた上で採用試験を受験させるとしている。
【引用:西日本新聞】
さらに「日本」という国も、外のルールを守っているようで守る気なんてサラサラありません。たとえば難民認定について。ちなみに難民は移民ではありません。祖国に帰ったら命の危険がある人達を難民といいます。
2019年のデータですが、日本の難民認定率はわずか0.2%。アメリカの22.73%、イギリスの39.80%、ドイツの16.05%、フランスの18.26%、カナダの51.18%と比較すると異常に低い認定率にとどまっています。
日本も他国も同じ難民条約に加盟しているのに、日本には独自の審査基準があり、しかも日本で統一されている基準があるわけでもなく、全国にいくつかある入国管理施設で対応も異なっているのです。
共同体原理の2つ目の特徴は「財の配分」についてです。共同体において、構成員ひとりひとりに直接配分するという発想はありません。たとえば1人あたり10万円の定額給付金は、原則として「世帯主」に振り込まれました。
世帯主に振り込まれる以上、世帯主が配分を決めるのは明らかです。世帯主以外の人は「不公平だ!」と感じるかもしれませんが、自民党だってそうなのです。
事実、2023年に自民党に支給される政党交付金は159億1000万円ですが、自民党議員ひとりひとりに支給されているわけでは「ない」という点が重要です。
あくまでもお金は一旦共同体がすべて預かり、その後共同体の構成員に配分する・・・・というのが共同体のルールなのであって、だから自民党の財布を握っている幹事長には権力が集まるのです。
だから国会議員といったところでサラリーマンとあまり変わらないのです。上ににらまれたら最後。選挙の時に公認も出してくれず、お金だって援助してくれないかもしれないのです。
事実、2012年に安倍晋三に「もう過去の人」と言い放った溝手顕正(みぞて けんせい)は、味方であるはずの自民党から河合杏里(かわいあんり)という刺客を送られて、2019年の参議院選挙で落選しました。
その後明らかになった事実は衝撃的なものでした。自民党は河合杏里に選挙資金として1億5,000万円を援助する一方で、溝手顕正には1,500万円しか援助しなかったのです。溝手顕正は自民党によって落選させられたのです。
わたしが共同体原理について知った時、最初に思い浮かんだのは、体の中に一回り小さな人形がいくつも入れ子になっているロシアの代表的工芸品『マトリョーシカ』でした。
【出典:るるぶ】
あなたには家族がいれば、あなたは家族共同体に所属している構成員です。仕事をしていれば、あなたは会社共同体の構成員です。そして日本に暮らしていれば、あなたは日本共同体の構成員です。
だからあなたは家族独自のルール、会社独自のルール、日本独自のルールにがんじがらめになっているのです。
そしてお金の取り分だって、国が決めた税制やルール(正社員・非正規雇用 等)、会社が決めた給与テーブルなどに強く制約を受け、手取り額も家族のなかで配分されます。残ったお金があなたが自由に使えるお金です。
だから「自由にやれ!」とアドバイスされたところで、日本人は困ってしまうのです。格闘家の青木真也は『空気を読んではいけない』という本を書きましたが、そうはいっても空気を読まないと生活しづらいのです。
事実、何かに挑戦するときに「家族に相談する」という人は珍しくないでしょう。仕事の商談中に自分では決められないので「上司に相談する」人も珍しくないでしょう。総理大臣だって自分で決めることができないので「検討を加速する」を連呼しています。
またコロナ禍に突入して3年が経過した2022年には「街中でマスクをするべきかよくわからない」という人が続出しました。そう。日本人の行動を決めるものは自分の意志というよりは「共同体の意志」なのであり「空気」なのです。
家族に相談して小遣いを増やしてくれるなら問題ないかもしれない。会社に相談して給料を上げてくれるなら問題ないかもしれない。国があなたにお金を回してくれるなら問題ないかもしれない。
でも・・・・・・・期待できないでしょ?
どうすれば・・・・・「あなたの懐にまで円が流れてくる」状態をつくることができるでしょうか?(続く)