【はじめに】
ベストセラーかつロングセラーにもなっているアドラー本「嫌われる勇気」が大ヒットして、読者から「いい本でした!」、「役立ちました!」と声をかけられた時、著者の岸見一郎さんは、「本当かな?」と思ったそうです。なぜでしょうか?
あなたはわざわざメールアドレスを入力して「アドラー虎の巻」を手に入れました。ですから、本やネットで簡単に手に入る情報をあなたに提供するつもりはありません。
本レポート「アドラー虎の巻」を読めば、「アドラー思想の本質」がわかるはずです。そして岸見一郎さんが「本当かな?」と疑った理由もわかるはずです。早速はじめましょう!
「幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである」 というのはトルストイの言葉ですが、現代社会においては「幸せは人それぞれ」です。
そう。「不幸は人それぞれ」であることに加えて「幸せは人それぞれ」なので、現代を生きるわたしたちは「どうすればいいのか?」がわからなくなり、不安な気持ちを払しょくできずにいるのです。
一体全体、どうすればよいのでしょうか?
「幸せは人それぞれ」なので、いろいろな人がいろいろなことをアドバイスしています。
たとえば先日、東京六本木の交差点で信号待ちをしていると、「バーキン買うなら豊胸しろ!」と宣伝しているタクシーを発見しましたが、「●●(条件)すれば、救われる(結果)」的なメッセージは、世の中にあふれています。
いたぁ〜〜〜〜〜〜〜〜‼️‼️
「バーキン買うなら豊胸しろタクシー」 pic.twitter.com/Kbu4wj01qS— Overwhelmed💳🅿️📈🚴🅰️💱💰 (@T_Yukihawk) August 24, 2023
「●●(条件)」には、いろいろな言葉が入ります。「受験」、「投資」、「結婚」、「就職」、「転職」、「節税」、「趣味」、「起業」、「出産」、「資格」、「年金」、「ダイエット」、「マイホーム」、「整形」、「定年」などなど・・・・・わたしたちがやるべきことは、一体、いくつあるのでしょうか?
アドラーに興味をもっている人の多くは、他人からの「●●(条件)すれば、救われる(結果)」的なアドバイスを信じても「やる気」がでなかったり、「挑戦しては裏切られる」を繰り返して、疲弊しているのではないでしょうか?
疲弊している人たちの症状・原因・問題を、わたしなりに分析すると以下のようになります。
症状:他人のアドバイスを鵜呑みにするが「やる気」がでない、もしくは「信じては裏切られる」を繰り返す
原因:「●●(条件)すれば、救われる(結果)」的な思考
問題:心の内側から湧き出てくる動機の欠如
「幸せになるためにはどうすればいいか?」というテーマに関しては、2つのまったく異なる考え方があります。それは「エジプト的な思考」と「ギリシア的な思考」です。
エジプト的な思考とは、「●●(条件)すれば、救われる(結果)」というような『条件プログラム的な思考』のことです。言葉を換えれば、損得を重視した思考であり、「得するならやるし、損をするならやらない」と考えます。
一方でギリシアの人たちは、地中海の対岸にいる「神に祈れば、救われる」と信じるエジプトの人たちを軽蔑しており、損得勘定を超える心の内側から湧き出てくる動機のほうを重視していました。
ギリシアの人たちは、頭の中でそろばんをはじいて「やる・やらない」を判断するのではなく、「やりたいからやる」という気持ちを尊重していたのです。
わかりやすくいうと、目の前の人が困っている時「あの人を助けたら得をしそうだから、助ける」と考えるのがエジプト的な思考です。その一方で、「助けたいから助ける」のがギリシア的な思考です。
他の事例でいうと「そろそろ結婚しないと自分の価値が落ちるから」という理由で結婚したり、「あの人と友達になるほうが得をするから優しくしよう」と考えるのがエジプト的な思考です。
その一方で「結婚したいから結婚する」、「遊びたいから遊ぶ」と考えるのがギリシア的な思考です。
あなたは、エジプト的な思考をする人とギリシア的な思考をする人のどちらと付き合いたいですか?
エジプト的な思考をすると、どうしても「●●(条件)」に当てはまるチャンスを探すことに必死になります。「どこにチャンスがあるのだろう?」と考えて、あらゆることをしなければいけなくなるのです。
結果として、コストパフォーマンス(コスパ)やタイムパフォーマンス(タイパ)ばかりを気になるようになり、終着点が見えないまま時間とお金に駆り立てられて、不安を抱え続けるハメになるのです。
さらに馬鹿げた話があります。コスパやタイパを気にする人たちが、ほとんどの時間を何に使っているかわかるでしょうか?そう。より多くの「●●(条件)」を探すことに、たくさんの時間を使っているのです。
あなたの人生に「より多くのこと」を付け加えることが「解決策」になるのでしょうか?
なぜやるべきことを探すのに時間を費やすのでしょうか?すでにやりたいことをやるだけの時間的・金銭的・精神的な余裕もないというのに・・・。
しかしエジプト的な思考をするがゆえに、コスパやタイパを気にする人たちは、最新で、最も優れたチャンスを探し回り、それを「やることリスト」に加えていきます。やれるはずもないのに・・・です。
そもそも「やることリスト」に加えたことは、他の人もやっていることです。他人と同じことを、他人よりもちょっとうまくやることが解決策になるのでしょうか?
もしあなたが・・・・・ストレスを感じ、やるべきことに圧倒され、肉体的にも精神的にも疲れ切っており、不安を抱えているなら・・・・・・エジプト的な思考に無自覚にハマっていることが原因なのではないでしょうか?
エジプト的な思考が通用しなくなっている最大の原因は・・・・・時代の流れが早すぎてあらゆる物事の賞味期限が短くなっている点にあります。
たとえば文科省が義務教育に導入している「プログラミング教育」にしても、すぐに時代遅れになる可能性があります。なぜならばチャットGPT(自動生成AI)にリクエストすれば、ソースコードが打ち出される時代になっているからです。
わたしも「いい学校・いい会社・いい人生」という昭和すごろく的な条件プログラムを信じて、受験勉強や就職試験を頑張ったのですが、大学を卒業する頃には「経済大国」だったはずの日本が時代遅れになっていました。
損得を考えて合理的に行動したところで、損得を支えている前提自体が崩壊する「一寸先は闇」の時代において、エジプト的な思考では生きづらくなっているのです。
そして「嫌われる勇気」や「幸せになる勇気」がベストセラーかつロングセラーになっている理由も、そのあたりにあると思います。そう。「アドラーの思想は、ギリシア哲学の延長線上にある思想であり哲学」(引用:嫌われる勇気)なのです。
ではギリシア哲学の延長線上のあるアドラーの思想は、どのようなことを推奨する哲学なのでしょうか?
「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」ことを喝破したアドラー思想においては、「1.他者貢献」⇒「2.自己受容」⇒「3.他者信頼」のスパイラルを回し続けることを推奨しています。
たとえば「アドラー虎の巻」をあなたにプレゼントすることも、わたしにとっては「1.他者貢献」のひとつです。
そして他者貢献をすれば、あなたからのフィードバックを糧に成長することができます。(2.自己受容)
さらに他者貢献によるコミュニケーションが、あなたへの信頼(3.他者信頼)につながり、新たな「1.他者貢献」に踏み出す勇気をくれるのです。
わたしはこのスパイラルを「勇気スパイラル」と名付けています。なぜならば「1.他者貢献」⇒「2.自己受容」⇒「3.他者信頼」のスパイラルを回すエネルギーは『勇気』であり、回せば回すほど『勇気』が湧いてくるからです。
ようするにアドラー思想の実践とは、他者たちと交流するなかで「他者貢献」を繰り返し、「みんなはこういうことを求めているんだ」ということを学んで経験値を高め、自分はたいてい大丈夫という尊厳(自己受容)と、他者への信頼を育てていくことなのです。
昔も今もそして将来も、人間が社会的な動物である限りにおいて、アドラーの思想は有効でしょう。しかし・・・・・勇気スパイラルを回すことは、現代人にとっては至難の業なのです。なぜでしょうか?
そのあたりの事情は、「嫌われる勇気」や「幸せになる勇気」でも説明されていないので、わかりやすく説明しておきたいと思います。
現代日本を観察すれば、勇気スパイラルを回している人は少数派で、ほとんどの人は「不安スパイラル」を回していることに気づくはずです。
不安スパイラルとは「1.競争」⇒「2.挫折/優越」⇒「3.損得」で構成されています。ネーミングのとおり、回せば回すほど不安が大きくなるのが特徴です。
不安スパイラルの代表例は「受験」です。受験戦争という競争があり、合格すれば優越感に浸り、不合格なら挫折感にまみれ、損得勘定で次の行動を決めることが当たり前になります。(例:偏差値を目安にして、志望校を決める)
大学を卒業して就職すれば安泰・・・・・であればよいのですが、残念ながら・・・・・不安スパイラルを回すかぎり競争は終わらないのです。
なぜならば、負け組になれば「勝ち組になるために頑張れ!」と発破を掛けられ、勝ち組になれば「負け組にならないために頑張れ!」とアドバイスされ続けるからです。
不安は解消するどころかますます大きくなり、競争を続ければ続けるほど周りのライバルも強くなるので、プレッシャーも大きくなっていきます。
そして競争を続けているうちに、無意識のうちに他人や自分を評価するモノサシが、「偏差値」などの「他人が決めた基準」になり、「他人が決めた基準」を受け入れることに慣れているうちに、「自分のしたいこと」がわからなくなってしまうのです。
「嫌われる勇気」が大ヒットして、読者から「いい本でした!」、「役立ちました!」と声をかけられた時、著者の岸見一郎さんが「本当かな?」と疑問に思った理由がわかるのではないでしょうか?
そう。アドラーの思想を実践するとはつまり、「不安スパイラル」を回すのではなく「勇気スパイラル」を回すことを意味します。そして多くの人にとっては、「生き方」を変える必要が出てきます。
「不安スパイラル」を回せば、人間関係が希薄になりがちです。なぜならば周囲にいる人間が、競争相手つまり「敵」になるからです。
一方で「勇気スパイラル」を回せば、人間関係が濃密になります。なぜならば周囲にいる人間が、協力するべき「味方」になるからです。
ですからアドラーの思想には、「課題の分離」、「共同体感覚」、「導きの星」、「自己受容」、「他者貢献」、「他者信頼」、「今ここを生きる」など、人間関係を構築する上で役立つ概念がたくさん含まれています。
しかしアドラーの概念はあくまでも「勇気スパイラル」を回すためにあるのであって、「不安スパイラル」を回すためにあるのではないのです。
「不安スパイラル」を回している人がアドラーの思想を取り入れようとすれば、アドラーの思想が「机上の空論」にしか思えず、逆に苦しむハメになるでしょう。
あなたは「不安スパイラル」を回しますか?「勇気スパイラル」を回しますか?
本レポート「アドラー虎の巻」はいかがでしたか?
本レポートは、アドラー思想の重要なポイントを短くまとめることを意識したため、あまり多くのことを伝えることができませんでした。
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最後まで読んでくれてありがとう!
感謝の気持ちを込めて、アドラー思想のエッセンスをわずか45秒で感じることのできる動画で〆たいと思います。