2ちゃんねる元管理人の『ひろゆき』こと西村博之氏のYouTube切り抜き動画が驚異的な再生数を叩き出しています。
切り抜き動画の話題はさまざまです。お金・政治・恋愛・社会・健康のことなど、いろいろ人が抱えるさまざな問題について、ひろゆき氏が軽妙かつ独特の語り口で語っているのですが、なんと・・・
2021年5月中に1回でも切り抜き動画を視聴した人数が1,583万人もいるのだそうです。
きっとあなたも「どうすればいいのか?」と、西村博之氏に質問したくなるような悩みを抱えているはずです。どうすれば「どうしたらいいのか?」という悩みから解放されることができるのでしょうか?
トヨタの「なぜなぜ分析」という問題解決をする上で有名な考え方があります。「なぜなぜ分析」が有効である理由は、現実に直面している問題はあくまでも症状であり、本当の問題が別にある可能性があるからです。
例えば「背中が痛い」という場合、「湿布を貼る」という解決策があり得ます。しかし「背中が痛い」というのはあくまでも症状なのであって、本当の原因は『感染症』、『腫瘍』、『内臓の病気』、『こころの問題』など、別にあるのかもしれないのです。
仮に「背中が痛い」という症状の原因が「内臓の病気」であるとしましょう。その場合、「湿布を貼る」という対策は対処療法にしかならず、背中の痛みはずっと続くでしょう。
「症状」と「症状の原因」を分けて考える思考に沿ってあらためて考えてみると、悩める相談者が「どうしたらいいのでしょうか?」と認識していることはあくまでも症状なのであって、本当の原因は別にあるかもしれないのです。
とするなら「症状」(認識している問題)ではなく、「症状の原因」(本当の問題)に注目して治療しないかぎり、永遠に「どうしたらいいでしょうか?」という悩みから解放されないことになります。
そこで考えてみることにしましょう。
そもそもなぜ???ひろゆき氏にスーパーチャットで投げ銭してまで「どうしたらいいのでしょうか?」と質問する人が多いのでしょうか?
早速そのことについて考えていきたいのですが、まずはその前に「そもそも問題とはなにか?」という点について、あなたとわたしで共通の認識をもっておきたいと思います。
2020年のある日、わたしの大好きな女優さんが自ら命を絶ちました。美人で人気もあり子どももいて再婚もしたばかりで「不幸」とは無縁であるはずの女優が自ら命を絶つなんて・・・・
「他人の気持ちはわからない」といいますが、他人の気持ちをそう簡単に理解できない理由は、『世界体験』がひとそれぞれ異なるからです。世界体験とは、文字通り「世界」をどのように体験しているかということです。
あなたと他人では世界体験が異なります。例えばあなたの友人が太っていて、口臭がきつくて、髪はいつもボサボサだったとしましょう。あなたは「痩せたほうがいいよ」、「口臭ケアはしたほうがいいよ」、「定期的に散髪したほうがいいよ」とアドバイスしたくなるかもしれません。
あなたは自分のアドバイスが正しいと疑いもしないでしょう。しかしあなたの友人が「太っていても問題ない」、「口臭がくさかったのはたまたま」、「散髪にお金をかけるなんてナンセンス」などと考えている場合には、あなたのアドバイスを「余計なお世話」だと感じるかもしれないのです。
では『世界体験』とはどのようにしてつくられているのでしょうか?
ニコラス・ルーマンというドイツの社会学者は、「世界体験」をつくる要素として「社会システム」と「パーソンシステム」の2つを挙げました。社会システムは「メガネ」、パーソンシステムは「目」と考えるとわかりやすいでしょう。
わたしたちはそれぞれ異なる「目」(≒パーソンシステム)と「メガネ」(≒社会システム)で世界を認識しているがゆえに、それぞれ異なる「世界体験」をもつというのです。
では「パーソンシステム」(≒目)と「社会システム」(≒メガネ)とは具体的にどのようなものなのでしょうか?
社会システムとは、ひらたくいえばその社会の「常識」のことです。アメリカにはアメリカの、中国には中国の、インドにはインドの、そして日本には日本の常識があります。
例えばインドにはカースト制による偏見や差別がいまだに根強く残っているのですが、日本人の感覚で「自由に生きればいい」とアドバイスしたところで「余計なお世話」だと思われる可能性が高いです。
なぜならば「現世で苦しい生活を送っているからこそ、来世は幸せになれるのだ」と本当に信じている人がたくさんいるからです。日本人には理解できないかもしれませんが、それぞれの社会にはそれぞれ異なる常識があるのです。
また同じ社会の中でも所属する集団によって掟が異なることもあります。例えばお笑い芸人の世界では「先輩が後輩におごる」という不文律の掟があり、サラリーマンの世界でも「ランチで部下は上司よりも高いものは頼まない」とか「部下は上司よりも先に帰らない」いうような不文律の掟があったりします。
パーソンシステムとは、ひらたくいえば「願望や期待の水準のこと」です。願望水準とは「心の奥底で望んでいること」、期待水準とは「現実に期待すること」を意味します。
願望水準も期待水準も高いと世界的でも有名なサッカー選手クリスチャーノ・ロナウドのようになります。「世界ナンバーワンの選手になる」という高い志を実現させるために、プロの選手からみても「アイツの真似はできない」ほど熱心にトレーニングに励んでいます。
逆に願望水準も期待水準も同レベルで低ければどうなるでしょうか?「やりたいこともないので、しょぼい現実でも受け入れる」ようになるでしょう。なぜならば願望水準が低いので、期待水準を上げるために努力すること自体がナンセンスだと感じられるようになるからです。
では「どうしたらいいでしょうか?」と他人に質問するのはなぜなのでしょうか?実は願望水準と期待水準のギャップで説明ができます。
つまり心の底から望んでいるレベル(願望)に現実(期待)が追いついていないため「こんなはずじゃない」と感じているのです。だからこそ「どうしたらいいのでしょうか?」と他人に質問したくなるのです。
はじめから期待していなければ失望もしないのです。お金・人間関係・将来・健康などについて「なんとかしたい」と考えているということは、本人は自覚していないかもしれませんが、期待水準よりも高い願望水準を抱えている何よりの証拠なのです。
そのことを理解すると、実は「どうしたらいいでしょうか?」と質問している人は、人生の分岐点にいることがわかります。
1つ目の道は「高い願望水準に合わせて低い期待水準を高めていく」という道です。2つ目の道は、「低い期待水準に合わせて高い願望水準を低くする」という道です。
あなたはどちらの道を選択するでしょうか?
あなたの世界体験が、「社会システム」と「パーソンシステム」に影響されているということを説明しました。このことを理解すると「どうしたらいいのでしょうか?」と質問する人が多い理由がわかります。
今の日本社会とはどんな社会でしょうか?それは人々が何に「生きがい」をもったらよいかわからない時代です。なぜわからないのか?それは基本的にあらゆることが「自己完結」の時代だからです。
「自己完結」の時代とは、サブカルチャー界隈では「セカイ系」と呼ばれます。「セカイ系」とはなにか?エヴァンゲリオンというアニメを観ればすぐに理解できます。
エヴァンゲリオンではなぜ災いが起こるのか(なぜ使徒が訪れるのか?)という「世界の謎」が描かれます。その一方でなぜ自分はここにいるのか(なぜエヴァに乗って使徒と闘うのか?)という「自己の謎」が描かれます。
そして第弐拾十六話(テレビ版最終話)では驚くべきことに・・・「自己の謎」を解決することで「世界の謎」も解決してしまうのです。わたしたちは「世界現象は自己現象だ」という庵野秀明氏からのメッセージを受け取ります。
「世界現象は自己現象だ」というメッセージは、言葉を変えれば「世界体験(世界現象)は、自己完結(自己現象)だ」とパラフレーズできます。まだピントこない人も多いと思うので、いくつか具体例を挙げます。
冒頭で紹介したひろゆき氏は論破王としても有名ですが、過去に注目されたセリフのひとつに「あなたの感想ですよね?」があります。そう。どれだけもっともらしいことを主張しようが、「あなたの感想ですよね?」と論破されてしまうのです。
例えば2021年7月の東京オリンピック前に東京都知事の小池百合子氏が過度の過労により入院したことがありました。この時、 元・東京都知事の舛添要一氏が「1週間も休むのは政治家失格」、「理解不能」と痛烈に批判しました。
政治倫理からいえば舛添要一氏の意見はそれなりに「もっとも」です。しかしSNS上では「お前がいうな!!」の大合唱。そう。イデオロギーや主張を超越的立場から神の声を代行するように語ることがもはや誰にとっても難しい時代に突入しているのです。
その結果、「わたしの意見」同士が激しくぶつかり合うバトルロワイヤルの時代に突入しています。
コロナ禍の日本を観察していれば、くどくど説明する必要もなくバトルロワイヤルの時代がどういうものかわかるはずです。
コロナ禍をどう乗り越えるかについて、日本ではさまざまな意見が衝突しました。政府としては・・・専門家としては・・・観光業としては・・・日本医師会としては・・・飲食業としては・・・現場の医師としては・・・東京オリンピックのスポンサーのメディアとしては・・・
さまざまな事情を抱えているさまざまな立場の人が、自分たちの利益を主張しぶつかり合いました。まさに弱肉強食とはこのことです。それぞれの立場の人は「自分たちの利益を守ること」を優先させているのです。
しかし厄介なことに、それぞれの立場の人たちは表向きは「社会全体の利益を守ること」を旗印にしており、本人たちもそう固く信じているということです。
そう。バトルロワイヤルの時代とは、「社会全体の利益を守ること」を旗印にした『小さな正義』同士がぶつかり合う時代のことなのです。
バトルロワイヤル時代にすでに突入した日本において「どうしたらいいのでしょうか?」と質問することの危険性がわかるでしょうか。
もしわたしが特定の目的のためにあなたを仲間に引き入れたい場合には、あなたの話をじっくり聞いたあとに、あなたに優しく語りかけるでしょう。
「そうですか。あなたの事情はよくわかりました。つらかったですね。あなたには真実をお伝えしたいと思います。実は・・・・・」と。
「どうしたらいいのでしょうか?」と真剣に悩んでいるマジメで頭のいい人ほど、『もっともらしい話』に引き込まれるでしょう。
そう。オウム真理教の信者が、教祖から「サリンを撒け!!!」と命令されてサリンを撒いたように、あなたも『他人に言葉』に囚われているうちは、同じ過ちを繰り返すかもしれないのです。
事実、「儲かる」とアドバイスされてよくわからない投資に手を出したり、「日本は財政破綻する」とか「コロナのワクチンは危険」という主張をそのまま鵜呑みにして、過剰なまでの不安に囚われて思考を停止させてしまう人がたくさんいるのです。
もしあなたが気づいたときには「カルト宗教の信者になっていた」、「あやしい儲け話に手を出していた」、「陰謀論者になっていた」・・・ということになりたくなければ、気軽に他人に「どうしたらいいのでしょうか?」と質問し、もっともらしい答え(真実)を素朴に信じるべきではないのです。
そう。残念ながら・・・「他人からの言葉」がないと自分から行動することができない人は、本質的な意味では『奴隷』なのです。『奴隷』をやめるにはどうしたらいいのでしょうか?答え:『他人からのアドバイスがないと行動できないあなたをやめること』。
あなたは『奴隷』をやめたいでしょうか?もしあなたは『奴隷』をやめたいと願うなら、レポートを読み進めてください。次回のレポートでは「他人からのアドバイスがないと行動できないあなたをやめる方法」について提案したいと思います。