「郵便局」が破綻する ~ 喉元過ぎれば熱さを忘れる日本人

【「郵便局」が破綻する】という荻原博子さんの本を読んで、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という日本人の特性を痛感しました。郵政の歴史を知ればあなたもそう思うはずです。

集金マシーン

郵便局の歴史は、日本銀行が誕生する前からはじまります。ご存知の方も多いでしょうが、郵便局は戦争をするためのお金を国民から集めるための機能を担っていました。

小泉純一郎元首相の「郵政民営化」という言葉を聞いたことがあるわたしたち現代人のほとんどは、郵便局と言えば「郵便局は国の経営から民間が経営するものになった」というイメージを持っているでしょうが、もともと郵便局のほとんどは「特定郵便局」といって地元の名士たちが運営するものだったことはあまり知られていません。

コンビニエンスストアにも本部直轄とフランチャイズがあるように、郵便局も国の直営店と地元の名士が経営するフランチャイズ(特定郵便局)があり、全国の郵便局のほとんどが特定郵便局というのが実情なのです。

では郵便局を運営は儲かるのでしょうか?

郵便局長1名、配達員1名という小さい郵便局でも運営するだけで年間2,000万円ほどの経費がかかるといいますから、よほど儲けられないと郵便局を経営するメリットがありません。

そのため国は「集めた預金額」に応じて報奨金(リベート)を出していました。そして全国の郵便局はリベートを手に入れるために(儲けるために)、国民からお金を集めて集めて集めまくりました。その結果、現在のゆうちょ銀行は、三菱UFJ銀行を上回る預金額を誇るまでになっています。

そしてそのお金の力を、政治権力の拡大と経済の発展に利用したのが「田中角栄」という政治家です。

田中角栄

田中角栄は1957年に郵政大臣になりましたが、実は田中角栄が郵政大臣になる前まで、国民は郵便や銀行に対してあまりいいイメージをもっていませんでした。

なぜならば戦争が終わり財政が悪化していた日本政府は1946年に、『預金封鎖』+『財産税』の組み合わせをもって、富裕層(現代の貨幣価値でおおよそ3,000万円以上の資産を所有するひとたち)の財産のほとんどすべてを没収していたからです。

戦時中、日本政府は「貯金するのが国のためになる」と盛んに宣伝して貯金を推奨してきたわけですが、その意味するところが「財産の没収」であることを痛感した日本人が「貯金したところで自分たちが犠牲になるだけ」という気持ちになり、タンス預金にのめりこむのも理解できます。

しかしここで発揮されるのが日本人の特性です。それは「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という特性です。日本人はどんな不利益を被ったとしても「仕方なかったな」と割り切り、次にステージに進めてしまうのです。

年収が10倍

田中角栄が郵政大臣に就任する2年前の1955年から、20年後の1977年までに、国家公務員の年収は約10倍になっています。

1955年の国家公務員の初任給は8,700円でしたが、1965年には約2万円とたった10年の間に2倍になり、さらに5年後の1970年には約35,000円、1975年には約80,000円と、驚異的なスピードで給料増えていったのです。

田中角栄はいかにして奇跡を成した遂げたのでしょうか?

田中角栄は、貯蓄運動を全面的に支援し、「郵便局」や「銀行」に庶民のお金を預貯金させました。そして金融機関が集めた預貯金を企業に貸し出し、企業がそれで設備投資や人の雇い入れを行う。そして給料をもらった人がまた預貯金するという復興のサイクルをつくりだし、景気を浮揚させたのです。

田中角栄は郵貯や年金で集めたお金を一旦、大蔵省の資産運用部に「財政投融資」という名目で集め、そのお金は政府系金融機関や特殊法人の財源として道路や住宅建設などさまざまなところに使われていきました。

しかし権力は必ずといっていいほど腐敗するし、権力が強くなれば敵も多くなります。財政投融資の仕組みは実は明治時代から存在していたのですが、田中角栄が郵便局をバックアップし、郵便局の数を増やしたことで、その規模が膨れ上がり、財政投融資はついには「第二の国家予算」と呼ばれるようになりました。

そして財政投融資の仕組みそのものを強く批判し、「郵政民営化」を訴えて選挙に大勝したのが小泉純一郎でした。

小泉純一郎

小泉純一郎は「郵政民営化」によるメリットを強く訴えましたが、今振り返ってみれば『嘘』ばかりです。最大の嘘は、「郵便局を民営化すれば、税金を使う側から支払う側になる」でしょう。

そもそも郵便局は、すべての省庁のなかで唯一、税金を使うのではなく「稼ぐ」組織であり、その儲けを「国家納付金」として国に納め続けていたからです。しかし郵政民営化によって、郵便局が国に納める金額は逆に少なくなりました。

他にも小泉純一郎元首相の主張をつぶさに検証すれば、どれだけめちゃくちゃなことを主張していたのかがわかりますが、詳しく知りたい方は是非とも【「郵便局」が破綻する】をチェックしてみてください。

甘い営業トーク

日本国民は政治のご都合主義にずっと振り回されてきました。戦前・戦時中に集めたお金は国に没収され、「郵政民営化」によって郵便局は外資保険(アフラック)を販売する代理店として量されるだけでなく、国民の資産までもが外資に奪われてします。

何がいいたいのかというと、国民は昔も今もずっと騙されているということです。具体的な話をしたほうがわかりやすいと思うので一つだけ例を挙げると・・・・

ゆうちょ銀行の投資信託のなかでも人気なのが「毎月分配型」の投資信託です。この投資信託は毎月決まった額の分配金がもらえる投資信託で、仮に1,000万円投資すれば毎月3万円の分配金がもらえます。

もしあなたがこんなことをいわれたらどうしますか?「貯金で1,000万円預けても年間1,000円くらいの利息しかつかないけど、この投資信託を買ったら月3万円の分配金が手に入りますよ?老後の年金代わりになるのではないですか?」

魅力的な提案に聞こえるはずですが、落とし穴があります。実はこの「毎月分配型投資信託」という商品、運用が儲かっていても損していても分配金が発生するのです。なぜ?損をしても分配金がでるのかといえば、最初に預けたお金の中から出しているからです。

ね?詐欺みたいでしょ?

もしかしたらあなたは、儲かっていれば(運用が成功していれば)問題ないんでしょ?と思うかもしれませんが、郵便局が販売する41本の毎月分配型投資信託のなかで、販売時より値を上げているものはたったの2本しかありません。(2020年3月31日時点)

わからないものに手を出すな

投資の神様のウォーレン・バフェットは、「誰がカモか分からなければ、そのゲームでは、自分がカモ」という格言を残しています。セールストークを鵜呑みにせずに、ゲームのルールを熟知すれば簡単にわかるような嘘に騙されることのないようにしましょう。

またウォーレン・バフェットはこんなようなこともいっています。「どの株が儲かりそうか?なんてことを判断する知識もその知識をインプットする時間もないだろうから、ほとんどの人にとっては、アメリカに賭ける(インデックス投資)のが最適な選択になるだろう。」と。

ビジネスにせよ、投資にせよ、「よくわからないなら挑戦するな」、「よくわかるつもりがないなら最初から挑戦するな」という格言を忘れずに。