「成功(出世)したい」、「結婚(離婚)したい」、「痩せたい!!!」などと強く願ったところで、現実になるわけではありません。
なぜいくら願っても叶わないのかといえば「ちっぽけな個人」が「大きな社会」を都合よくコントロールするなんてことは不可能だからです。わたしたちにできることは「社会には法則がある」ことを素直に認めて、その法則を利用することだけなのです。
社会には法則があるとはどういうことでしょうか?
結核やハンセン病はかつて不治の病でした。命令したって、泣いてお願いしても、どうしようもありませんでした。しかし医学が進歩してストレプトマイシン(抗生物質)、レプロミン(ハンセン病の種類を決定する手法)が発見されるようになり、結核やハンセン病も治る病気になったのです。
以上のように自然現象には法則があるわけです。「どんな病気でも念力で命令すれば、あっという間に治る」とか、「重力の法則を無視して空中を飛べるはず」なんていう人は少数派のはずです。あなたもきっと「人間は法則を変えることができない」ということに同意してくれるはずです。
しかし残念ながら、自然法則だけでなく、社会現象にも法則があることは特に日本ではあまり理解されていないようです。もし社会法則を理解せずに、行動したらどうなるでしょうか?
命令したって、泣いてお願いしても癌が治らないのと同様に・・・
あなたが銀行に「会社を辞めて独立するから、融資してくれませんか?」とお願いしてもうまくいくとは限らないのです。
政府が国民に「コロナが流行したから不要不急の外出は自粛してください」と要請(命令)しても、うまくいくとは限らないのです。
政府が企業に「利益(内部留保)を蓄えてないで、労働者の賃金を上げてください」と提言しても、うまくいくとは限らないのです。
同様に、あなたが「幸せになりたい・・・」と願ったって、「幸せにしてくれない?」と頼んだって、「幸せにしなさい!!」と命令したって、あなたが幸せになれる保証はないのです。
あなたが子どもに「幸せになってほしい・・・」と願ったって、「もっと頑張ってくれない?」と頼んだって、「ちゃんとやれ!!」と命令したって、あなたの子どもが幸せになる保証も、頑張る保証も、ちゃんとやる保証もないのです。
あなたには何ができるでしょうか?
わたしが外資系コンサルティング会社から内定の連絡を頂いたとき、採用の人事責任者は「採用理由は、あなたはマチュア(成熟)な人間だからです。」と教えてくれました。ひらたくいえば「いい人だから」という理由でした。
しかしわたしが社会に出て実感したことは「いい人」なだけでは「社会では通用しない」という当たり前のことだったのです。「社会で通用する力」を発揮するためには「ズルく」なければいけません。
もちろん「ズルい」の意味は卑怯という意味ではありません。ズルくなるとは社会の働きを熟知するということです。具体的には他人の「言葉」を鵜呑みにするのではなく、「文脈」にまで想像力を働かせることが重要になってきます。
例えば文部省の「高校生に投資について教えるべきだ!」という言葉をそのまま素直に信じるのではなく、「なぜ文部省は投資について教えるべきだ!」まどと熱心に主張しているのだろうか?ということを考えることが「ズルく生きる」上で重要になってくるわけです。
日本政府は「貯金から投資へ」と声高に主張しています。表向きには「貯金してもお金はほとんど増えないので投資するべきだ」といかにも『国民のために』ということを強調していますが、騙されてはいけません。
真の狙いはおそらく・・・・・
経済を回さない限り税収を増やすことはできません。しかしコロナ禍の日本では経済が回っていません。そこで目をつけられたのが「貯金」です。
もちろん貯金に直接課税することはできません。しかしもし貯金している国民のお金が「投資」に回ったらどうでしょうか?
もちろん投資をすれば失敗することもあれば、成功することもあります。もし投資に失敗した場合、困るのは誰でしょうか?そう。失敗して困るのは投資に挑戦した当事者である国民です。政府が困るわけではありません。
では投資に成功した場合、嬉しいのは誰でしょうか?もちろん投資に成功した国民は嬉しいでしょうが、政府も嬉しいのです。なぜならば金融所得には課税することができるからです。
つまり政府としては「国民の預貯金が投資に流れてくれれば、株価は上がるので好景気を演出できるし、国民が投資に失敗してもリスクを負うことなく、逆に投資に成功すれば税金を徴収できる」という『旨み』があるのです。
日本政府が国民に貯金するのではなく投資を推奨する重大な理由は他にも考えられますが、そのあたりの話は今日のメインテーマではないので、話を打ち切ってこれまでの話を復習しておきましょう。
今回わたしがあなたに伝えたい重要なこととは・・・・・「お金の話」ではなく「ズルくなることの重要性」でした。ズルくなるとは具体的には社会の働きを理解することでした。
そして社会の働きを理解するコツは、さまざまな現象をいろいろな角度から眺めつつ、「社会がどのような力学で作動しているのか?」ということを現実社会を観察しながら絶えず検証し続けることなのです。
そして見過ごせないポイントは、現実社会における法則や因果関係といったものは「目には見えない」ということです。事実、教育・投資・日本人・愛といったものは目には見えません。
しかし目には見えないものが、社会を回しているのであり、あなたを縛っているのもまた事実なのです。もしあなたが他人には見えていないものが見えるようになった時・・・・・
あなたは自分を縛っているものから自分自身を解放することができるでしょう、いち早くチャンスに気づくことができるでしょう、成功を阻む罠にハマることもなくなるでしょう。(続く)